2015年4月8日水曜日

弁護士らしい話し(其の2)

 昨今、南西諸島を時折り訪ねています。

 二月には、我が国の最西端の与那国島へ行って、自然の外は何も無い中で、トマ・ピケティの「21世紀の資本」全七百頁を読破しました。
 彼は、最近二百年間の主として税金関係の資料に基づいて、資本について、資産(元手)と所得(労働)との関係性を調べ、富は偏在するもの、つまり貧富の格差は拡大する傾向を常に備えていることを論証しています。
 私達、特に団塊の世代が信じて来ていた能力主義、原則としての平等、努力次第で差異、つまり努力すれば報われる、という社会の有り様は、20世紀前半の二度に亘る大戦の後の半世紀間程の、むしろ例外的な事象であった、と衝撃的な分析をしています。

 三月には、鹿児島の南端、沖縄のすぐ北の与論島へ行き、正月に次いで、今年二度目のハーフマラソンを走りました。ハーフマラソンに参加する前後に奄美大島の弁護士と共に無料法律相談会を開きました。五十歳台、六十歳台、七十歳台の方々の相談に応じて来ました。
 人は、それぞれに居場所を求めて生活を営んでいます。人は、それぞれに楽しみと悩みとをないまぜに日々の生活を送っています。
 与論島には、町役場と派出所はありますが、裁判所も法務局もありません。
 法治国家の筈ですが、その法治の余慶は、この国では未だ未だ偏在しているようです。

 それでも、ハーフマラソンを走り、また、少しは人の為にはなったか、と思っています。

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