新型コロナウイルス禍のこと
-本当に高齢者の死亡率が高くなっているのか?—
大阪大学大学院法学研究の特任教授を10年間務めていた際の同僚の一人に、O教授がおられます。
O教授は、労働法・労使関係専攻で、且つ、内閣の規制改革委員会の参与等を歴任した人物であって、加えて国立大学の法人化の前後を通じて8年間国立大学における人事労務の現場で実務に携ったという学者ばかりではない、労務の現場を踏まえた極めてAggressiveな研究者であって、日頃からその説かれるところを興味深く傾聴しているところです。
O教授は、只今は、私立大学へ移られていますが、「現場からみた労働法」というテーマで発信を続けておられるところ、近時は、「数値を読み解く」というテーマを掲げ、各種の労働環境に関する数値を文字通り丁寧に読み解くべきことを粘り強く説いておられます。
この中で、去る8月に「新型コロナウイルス感染症対策分科会」に、次のような8月時点の死亡者数の百分率が提出されたとのこと。
10代以下 0人( 0.0%)
20代 1人( 0.1%)
30代 4人( 0.4%)
40代 14人( 1.3%)
50代 40人( 3.6%)
60代 114人(10.3%)
70代 302人(27.3%)
80代以上 626人(58.5%)
しかし、厚労省の2019年の「人口動態統計月報年計(概数)」に拠れば、70代以上の者が死亡者全体に占める割合は、総数138万1098人のうち、その85.0%の117万4317人とのこと。
依って以て、新型コロナウイルス感染に限って高齢者の死亡率が特に高くなっている訳ではない、と紹介。
改めて考えを巡らせると、2020年の死亡者の総計が明らかにならない限り、ともかく高齢者に特に致命的である・・・というのは、確かに如何なものか・・・
ともかく関心の高さと正確な情報の少なさとが、とかくの言説を流布する温床であることは、社会心理学的には定説の筈!と改めて再認識したところです。
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