2015年6月16日火曜日

弁護士らしい話し(其の3)

 不正競争防止法という法律があります。
 昭和9(1934)年に、我が国が当時の世界、列強に伍して行く為に、ともかく世界標準の法律も持っています、と胸を張る為に、明治、大正と長々の政府内の検討を経て造られたと言われています。
 中味は僅かに6か条でした。

 不正な競争を取り締ろう、規制しよう。
 公正な競争を確保しよう、ということです。
 この法律は、平成に入って改正が重ねられ、今日では全31か条へとボリュームを増した法律に成っています。
 最近では、この法律が不正競争行為として禁じている「営業秘密」の不正取得をめぐって、大手電機メーカの情報の海外流出や家電量販店の情報持ち出しなどがメディアで報じられています。
 政治家に必要なものは、地盤、看板、鞄の3ツのバン。ビジネスに必要なものは、商品(役務、サービスを含めて)、資本、顧客!!
 商品は仕入れることにより、また、資本は借入れることにより、それぞれ調達することが可能ですが、顧客だけは自ら獲得してゆかなければなりません。
 もっとも、顧客の融通ということを目指して、SNSを通じてビッグデータなるものが蓄積され、遣り取りされているのかも知れません。なぜ届けられたのか分からないDMというものを手にすることがある筈です。

 扨、顧客情報というものは、それだけでは営業秘密として法的に守られる、ということにはなっていませんが、然るべき手続、手順を経て、秘密として管理することによって、法的保護が受けられることを不正競争防止法は定めています。
 従業員の転職、独立などということを機縁に、顧客情報の流出が問題とされ、法廷で争われることが特に増えています。が、これら流出を法的に禁じたり、持ち出した情報の廃棄を命じたり、また、損害賠償請求が認められるか・・・という点になると、使用者側の顧客情報の管理の手抜かりから、これまでの裁判例では勝ち負けは相拮抗しているというのが現状です。

 顧客情報の価値、これは失なってから気が付くことが多いようですが、日頃から、その収集、保管、アクセス、回収etc.の手順をルール化し、実践して守って行くべき時代の到来です。

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