2015年9月1日火曜日

弁護士らしい話し(其の7)

 有斐閣という法律関係書籍の老舗の出版社があります。

 法律家なれば、必ず御世話になっているところです。

 同社の六法全書を開いていて、初めて気が付いたことがあります。迂闊に過ぎ、自ら呆れているところですが、各編の冒頭に箴言が掲げられているのです。

  憲法編には、「アメリカ独立宣言」「われわれは、次の真理を自明なものと考える。すなわち、すべての人間は、平等に造られている。・・・」
 
 地方自治法編では、「シャウプ勧告」から「地方自治のためにそれぞれの事務は、適当な最低段階の行政機関に与えられるであろう・・・」

 財政・租税法編には、福沢諭吉の「凡そ世の中に割合よき商売ありと雖も、運上を払うて政府の保護を買うほど安きものはなかるべし。・・・」

 警察・防衛法編には、モンテスキューの「経験がつねに教えるところによれば、権力をもつ者はそれを濫用しがちで、限界にぶつかるまでやる。まことに、徳性そのものすら限界を必要とする」

 刑法編では、「天落つるとも、正義は行わるべし」

 民法編では、「社会あるところ法あり」

 商法編では、「最悪の民法典は、疑いもなく、どこの国民にも無差別に適用される民法典であり、最悪の海法典は、一国だけの特別な利益と習俗の特殊的影響にのみ基づいて作られる海法典である」

 民事訴訟法編では、「他方の側もまた聴かれるべきである」

 国際私法編では、「法の条理は法の精神」

 社会保障・厚生法編では、大内兵衛が会長を務めた昭和25年の社会保障制度に関する勧告「序説」

 経済法編では、ユスティニアヌスの「正義は各人に彼の権利を与える堅固な不断の意思である」

 事業関連法編では、アダム・スミスの「諸国民の富」から

 知的財産法編では、コーラーの「作者の努力の結晶である作品の運命は、作者の人格と不可分の関係にある。これはまさに正義の要求するところと考えなければならない」との言。

 改めて読み返すと、真に意味深長であって、今も変わらぬ人間の真理を鋭く衝いている!と今更乍らに痛感します。

0 件のコメント:

コメントを投稿