2016年2月10日水曜日

弁護士らしい話し(其の13)


著作権について

 著作権法2条①項1号は、「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義し、同2号は、「著作者」とは「著作物を創作する者をいう」としています。

 そして、10条で著作物が例示され、その①項3号は「舞踊又は無言劇の著作物」としています。

  東日本大震災からの復興に関する報道の中で、フランス人のシルヴィ・ギエム(Sylvie Guillem1965年生)()さんが福島で自身最後のボレロの公演をしたことが最近取り上げられていました。百年に一度のダンサーと評価されている人です。

  ところで、ボレロ(Boléro)は、モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel18751937年)が1928年に作曲した名曲で、一度聞くと忘れ難い印象を与えます。テレビのコマーシャルでも多用されています。

 このボレロと言えば、思い出すのは、1981年のクロード・ルルーシュ(Claude Lelouch1937年生)監督の映画「愛と哀しみのボレロ(原題:Les Uns et les Autres 強いて訳せば、「とある人達とその余の人達」)」であり、モーリス・ベジャール(Maurice Béjart19272007年)の振り付けでエッフェル塔を背景に、アルゼンチン生まれのジョルジュ・ドン(Jorge Donn194792年)が踊ったボレロです。
 
 とは言いながら、ボレロは、元々はスペインの民族舞踊・舞曲で独特の4分の3拍子のもので、軽快さに特徴があり、このリズムを用いてラヴェルが作曲したものが有名となり、「ラヴェルのボレロ」と言われるようになったそうです。(闘牛士の上着の名称にも、ボレロというのがありますが)

 著作権に話しを戻しますと、ラヴェルのボレロは舞曲・楽曲として著作物であり、ルルーシュの映画も、ベジャールの振り付けも、ジョルジュ・ドンの実演も、その何れもが著作物として夫々に著作権が認められるべきことになります。

 もっとも、ラヴェルの著作権は、その没年から見て、既に消滅しているでしょうが。
 




() 百年に一人の逸材との評判の人物。初め、パリ・オペラ座バレエ団に属し、198412月に19歳で初主演の「白鳥の湖」で大好評を博す。1988年以降、退団し、イギリスをはじめ各地で公演。その後、コンテンポラリー・ダンスに取り組む。歯に衣着せず物を言うことから、あだなは「Mademoiselle Non」。自身の語るところでは、「野望は地球の救済」。

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